既に忘れかけていた時代の作品.2 -suiju-

2019.06.25 Tuesday

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    JUGEMテーマ:創作活動

     

    以前、10代の頃から30代にかけて参加していた同人誌や商業誌(といったって考えれば同人誌みたいなものだ)、

    また自分で作っていた同人誌だったりで

    書いていた詩を最近、読み返してみた。というのも、PCに入っているのを思い掛けず見たからだ。

    (整理してデータだけは保存していたんだなぁ)

    拙いものだが、自分の分身みたいなものだから、すぐに浸透してくる。

    ということでもう一度箱から出してあげようということです。おやごころ、おやごころ。

    今回2回目。

     

     

     

    suiju「水樹」

     

       1

     

    がらんとした午

    ひかりが陰を呼吸している

    鳩が樹上に憩い

    すずめは声だけを置き去りにする

    遠く近く子供の声が弱々しく私を越えていく

     

    かすかな風が落ち葉を転がしては

    私の耳をくすぐるようだ

     

    午。

    蒼い空が樹木の上をおおっている

    樹木はひかりと戯れている

    陰はひかりを呼吸している

    午。

    その時 私はきいた 私はみた

    一本の樹が泣いているのを

     

     

       2

     

    そこに何もない、という日があるものだ

    秋の日のあるいち日

    散歩に出れば

    ひかりがただただそこにさして

    それは私の意識と同じ質のもので

     

    弱い陽をみつめれば私は

    自分というものですらも忘れてしまえる

    公園のベンチに座れば

    そこから立ち上がる気力は萎えている

    辺りの木立ちは幻のように

    夏の勢いはすでになく生命も

    見えないようだ

    そこにはぽっかりとした空の意識があって

    何もないという私があるのだ

    辺りいったいは私の意識の反映か

    そんなものなのかもしれない

     

     

       3

     

    過ぎ去った夏の日々を彼らは

    懐かしみはしないだろう

    秋の日々の中で彼らは

    生きることを知っている

    その時だけが現実であって

    そこにとどまることなど思いもしないのだ

    彼らのちからは自然の流れ

    流れを変えることなど知らない

    久遠の生命の奥で意識が

    彼らに同調しても

    彼らは私の内側には入れない

    せめて日のひかりのように私は

    みつめていよう

     

     

       4

     

    草の葉が陽の光に照らされて揺れ

    地の底から流れてくる水に揺れ

     

    窓の外を眺めればそこにある明るさに

    部屋の暗さを知り

    手を延ばして光を掴もうとする

     

    陽の光はすぐそこに在るのに

    私は全身に浴びることを知らない

     

    草の葉は静かに揺れる

    その音は私を外に運ぶだろうか

     

     

       5

     

    地をこの足で歩く

    水に出会え

    風に出会え

     

    光が私をつつむ

     

    ほら この光は

    こんな小さな草花にさえ届くのだ

     

    いつもこの光を持ち歩くことができたなら

    しあわせだろう

     

     

     

     

     

     

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